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助成対象詳細

Details

2019 国内助成 [そだてる助成]     

認知症改善プログラム「農福リハビリ」の確立と新たな農福連携事業モデルの創造

企画書・概要

Abstract of Project Proposal

都城市は、全国でも有数の農業振興地域であるため、独自の課題が存在する。 基幹産業は、農業と隣接する関連産業が中心だが、超高齢化により、就農人口減少、認知症発見の遅れなど、基幹産業の崩壊と共に地域コミュニティの持続が難しくなりつつある。 課題解決のために農業者が主導し、医療機関・介護事業者とともに地域初の農福連携協議会を2017年に設立、課題解決のために以下の活動を行っている。 コミュニテイ農園(農福農園)を病院や介護事業所内に設置し、軽度の農作業による認知症改善プロブラム「農福リハビリ」を臨床・研究経験50年以上のキャリアをもつ専門医とともに考案。 試験運用により、認知症患者の認知症状が改善され、そのエビデンスを国内で初めて採取し今秋には、学会で発表される。 更に、プログラムのアップグレードと共に、農家の古民家を改装した「農福リハビリ」のための環境整備を行う。また、農福農園で栽培された作物を加工・販売し継続的な活動が出来る仕組み作りを行う。 「農福リハビリ」の確立と共に、新たな農福連携事業のロールモデルを形成し、全国の農業振興地の超高齢化問題解決のソリューションとして、全国展開する。

実施したプロジェクト内容と方法

Describe the implemented project and the method used

実施概要

■農福リハビリのための環境づくり

・農家および周辺環境を整備した「農福リハビリ・ステーション」の完成

1. 古民家の修繕・改装 農福ステーション(1棟)

2. 耕作放棄地再生 農福リハビリ専用農園 (10アール程度)

3. 休耕田の利用 農福リハビリ専用農園(0.6アール程度)

4. 竹林の整備 (40アール程度)


・調理・加工施設の設置 2棟(菓子製造、惣菜製造)


■「農福リハビリ・トレーナー」システムの開発

1. コーチング技術の統合

脳機能学、精神神経免疫学、認知行動療法などの科学的な根拠によるプログラムを構築

また、「介護者(ご家族、介護職員)向けプログラム」も完成

2. 対応ノウハウ、実施研修制度 上記のプログラムに統合

3. 実施研修制度 実施計画の策定

4. 育成システム 介護職員、および介護課の担当者に対してセミナーを実施


■農福商品の開発

農福製品のアイテム数の増加のための商品開発

15アイテム(青果および加工品)

• 一次加工品:玄米、唐辛子、菊芋チップス、ウコンパウダー、ローリエなど

• 菓子:スコーン、カップケーキ、玄米ドーナツ、シフォンケーキ、大学芋など

• 焼酎(商工業者との連携):菊芋焼酎

• 全粒粉食パン(商工業者との連携):農福連携食パン


■農福イベントの開催

・「農福リハビリ・ステーション」構築工程に関するワークショップ実施

厚生労働省 九州厚生局 「地域共生セミナー」登壇にて、説明 60名程度参加

・「農福リハビリ」に関するワークショップ実施<コロナ禍のため実施不可>

・板橋社会福祉協議会、いたばし総合ボランティアセンター、東京都健康長寿医療センター研究所、ハッピーロード大山商店街との連携による、医農福連携「いたばし農福連携キッチン」開催 800名程度参加

・農作業によるストレス軽減テスト実施 [順天堂大学大学院 緩和ケア研究室、NPO法人ユメソダテとの連携事業] 30名程度参加

・「認知症介護の苦しみから解放されるための勉強会」を実施/2023年1月より、毎月開催 40名参加

  • いたばし農福連携キッチン
  • 認知症介護の苦しみから解放されるための勉強会
  • いたばしボランティアセンターでの自然薯栽培

助成期間終了時点での成果と今後期待される波及効果等

Describe the results at the end of the grant period and expected ripple effects

■成果

本助成を通じて、得ることが出来たもっとも大きな成果は、「農福リハビリ」のアップデートとして、「認知機能改善プログラム」を大幅にリニューアルできたことです。

これまで、医療機関、福祉事業所と実施してきたプログラムですが、まだ仮説の部分も多く、その根拠や科学的な検証など、膨大な検証作業が必要でした。

この3年間に、専門機関や大学との連携を進め、また、最新のコーチングなどの心理技術も学び、その成果をプログラムに統合することで、新たな「認知機能改善プログラム」として更新することが出来ました。


さらに、本プログラムは、当事者だけでは無く、その家族や介護事業者の方々向けに再構築し、「介護者向けのプログラム」としても、現在は、地域では多くの方々へ提供しています。


2023年度は、医療機関、介護事業所と共に臨床での実施を行い、より効果的なプログラムにより新たなエビデンスが採取できることと期待しています。



■波及効果

現在、以前放送されたドキュメンタリー番組の視聴者、そしてSNSやWeb検索からの問合せが増加しています。それは、コロナ禍による物理的な接触回避が、社会的に立場の弱い人たちに対して、大きな心的影響が出ているようです。


私たちは、これから認知症高齢者に制限すること無く「認知機能改善プログラム」を活用し、様々な背景を持つ当事者の皆様にお届けしようと考えています。

そのために、農福連携を導入のセクターとして捉え、広く社会に普及させるような戦略を実施することで、その波及効果を目指します。

社会福祉協議会やNPO法人、ボランティア・市民活動団体などと連携し、対応出来るプログラムへのアップデートを継続して、社会課題・福祉課題可決のためのソリューションとして、社会に実装することを目指します。

  • 農作業によるストレス軽減テスト
  • 区市町村ボランティア・市民活動センター運営委員およびセンター長等合同会議
  • 木城町での基調講演

プロジェクト情報

Project

プログラム名(Program)
2019 国内助成 [そだてる助成]     
助成番号(Grant Number)
D19-L-0213
題目(Project Title)
認知症改善プログラム「農福リハビリ」の確立と新たな農福連携事業モデルの創造
代表者名(Representative)
岡元一徳  
代表者所属(Organization)
都城三股農福連携協議会 プロデューサー兼事務局長
助成金額(Grant Amount)
7,200,000
リンク(Link)
活動地域(Area)

宮崎県 都城市