助成対象詳細
Details
企画書・概要
Abstract of Project Proposal
実施報告書・概要
Summary of Final Report
本プロジェクトの目的は、建築遺産で何かを始めましょう、そして「新しいまちとコミュニティー」を創出することであり、当初計画していた1年目は、地域住民中心の活動を行い「ヨソモノ」専門家、地元芸術家等の助言を仰ぎながらの準備期間の活動とする。2年目は「地域民」と「ヨソモノ」と共同で活動とする、であったが、結果的には1年目の活動と2年目の活動が逆になったようであった。
目的を達成するためには勿論地域住民の協力と建物所有者の理解と協力が一番のことであった。しかし私たちは、地域に対しての情報も少なく、しがらみの無い「ヨソモノ」に協力を求めることにした。中山間地域の閉鎖された独自の文化と歴史を持つ地域に「ヨソモノ」を投入するのは大きな冒険でもあったが、以前より活動地域周辺の住民の出身地を調べてみ見た結果、従来からの地域住民と他所から定住した人の構成率は50:50であった。特に活動中心建物と周辺の地域住民では構成率は30:70の比率で「ヨソモノ」の率が高かったことにも着目していた。
活動実施内容としては、地域住民、所有者、「ヨソモノ」に対しての活動趣旨説明。地域の合意形成。プロジェクトの意識共有のワークショップ ⇒地域住民との周辺地域の環境整備 ⇒対象建物の不用品処分、大掃除に「ヨソモノ」の多数の参加 ⇒地域のまち歩き ⇒国登録有形文化財についての対応調査⇒建物公開活用イベント ⇒課題の整理 ⇒国登録有形文化財に向けての建物調査、聞き取り登録申請準備(学術、建築士等専門家、行政) ⇒2年目事業 地域住民、「ヨソモノ」、各種専門家とのワークショップ ⇒建物大掃除、一部修理活動(地域住民中心) ⇒建物公開活用イベント、地域のまち歩き ⇒建物大掃除不用品処分(地域住民中心) ⇒建物の修復作業(所有者材料負担にて協力) ⇒国登録有形文化財申請(会メンバー・サポーターにて申請) ⇒外部に活動の啓発発信活動(各種団体及び各種マスコミ) ⇒地域住民との周辺地域の環境整備 ⇒建物修復計画作成のための調査⇒学術専門家等とのワークショップ ⇒県外の団体の受け入れと交流 ⇒国登録有形文化財として答申(27年11月20日) ⇒活用建物耐震調査と修復計画・セミナー(外部専門家の協力) ⇒行政に対して活用と保存についての提案要望協議 ⇒行政トップに活用と保存の要望書提出 ⇒同様の活動団体との交流及び視察 ⇒ 国登録有形文化財として登録(平成28年2月25日) ⇒地域に対しての位置づけワークショップ 継続中(行政と地域住民参画)の流れの活動であった。
活動成果と地域の変化について語れば、「ヨソモノ」の参画により「地元民」との交流の場として確保できたことと専門家とのネットワークが構築されたことである。本活動を始めた段階では地域の50代以上の人たちが中心で専門家も少ない活動であったが活動テーマに「ヨソモノ」をいかに地域に取り込むか、地域に溶け込んでもらうかも目的としたので、最終的には想定以上の「ヨソモノ」「ワカモノ」「センモンカ」が参画してくれた。その効果により、活動途中には地域の「ワカモノ」「コジン」から新しい参加者が現れたことは私たちも地域にとってもポロジェクトにとってもなによりの収穫であった。また活動で、誇れる成果としては、1年目の活動を始めた26年9月、私たちは勿論の事所有者にも事前の話が無いまま文化庁、広島県教育委員会、庄原市教育委員会が活動対象建物を国登録有形文化財の候補としてアプローチしてきたことである。他の活動と平行して専門的分野である登録作業に追われたが、私たちと「ファン・サポーター」のネットワークと「ヨソモノ」「センモンカ」のネットワークも活用し、かつ多大な協力を仰ぎ候補建物群8棟を行政機関も驚くほどのスピードで作業した結果28年2月25日「国登録有形文化財」として登録されたことである。
今後の活動の展望としては、この二年間の活動の中で様々なマイナスの要素が発生し、それに対処することで精一杯であったような気がしているが、抽象的ではあるが活動の基礎づくりはできたと思う。本来の目的である「建物を中心として一つのまちと地域コミュニティーを甦らせる」ための仕上げに向けては解消していく課題がより多方面に及ぶのが確実で、長期に亘る活動になる。今後は地域住民を主体として行政も交え、より具体的に建物の活用・修復と周辺地域との位置づけを確定させる活動とする。さらに今回構築できた「ヨソモノ」「センモンカ」「ファン・サポーター」とのネットワークを大切にしてさらに連携を深めて当初の目的を完遂するつもりだ。