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助成対象詳細

Details

2013 国内助成 「一般枠」 活動助成     

宿毛街道中道上槇プロジェクト ―四国へんろ道に臨する山間集落の存続をかけて



企画書・概要

Abstract of Project Proposal

四国遍路道は、世界遺産登録を目指して全四国的な登録推進協議会も結成され、地域主体の持続的な環境整備体制の構築が期待されている。遍路道では地域において「お接待」としての環境整備が行われ、特に山間部では住民の力が欠かせない。しかし、山間部の多くが過疎高齢化の問題を抱え、地域の力が必要とされる場こそ担い手が欠如するという矛盾が生じている。
宇和島市津島町下畑地上槇地区は、山間の限界集落である。
 現在、旧へんろ道の復元を契機に、歴史的文化資産を活用した地域活性化の可能性を模索している。しかし、旧遍路道復元のみでは、自立・持続した地域の活力再生に足りず、複合的な地域活性化策と連携した総合的プランの策定によって活路を見出していくことが喫緊の課題である。
 地域の活性化と存続を図る取組として、旧遍路道の復元、空き家を活用した休憩簡易宿泊施設の整備に取り組むとともに、それらの取組を踏まえて 総合的な地域計画(マスタープラン)を策定する。他遍路地域や団体と協働することによって、山間地域の遍路道の保全と地域の活性化の方策を検討し、その成果波及を目指す。





実施報告書・概要

Summary of Final Report

【概況】
宿毛街道中道上槇プロジェクト(以下「上槇PJ」と略称)は、愛媛県宇和島市津島町下畑地上槇地区において、途絶していた四国遍路道の復元整備作業を進めるとともに、遍路道を含めた地域資源を活用した活性化を図り、遍路道とそれを支える上槇地区が未来に存続することを目指して取り組んだ。
1. 歴史的文化資源としての遍路道の活用(復元整備と文化的魅力の発信:助成対象)
 上槇地区内の遍路道を含め、愛媛県愛南町の40番札所観自在寺から宇和島市津島町の番外札所満願寺までの遍路道(宿毛街道中道)は、この半世紀近く途絶していたが、上槇PJの取組を含めた復元整備作業の結果、徒歩通行可能な状態に達した。
 2016年3月26日~11月20日に開催される“えひめいやしの南予博2016”の自主企画「旧へんろ道(宿毛街道中道)ワーキングウォーク」に協働し、春シーズン2回にわたり地区内の遍路道を活用した取組を行い、通行可能のPRを図った。 
2. 地域内の空き家の活用(遍路者等への休憩・簡易宿泊施設としての整備:助成対象)
 所有者の好意により空き家の提供を受け、休憩・簡易宿泊施設として整備した。主要な建物構造は堅固だったが、付属建物や外壁の腐朽は予想以上で、一部雨漏りを生じていた屋根の補修を含め、整備は想定以上の費用を要した。
 屋外からも利用できる簡易仮設トイレや冷水シャワーボックスの整備なども行い、素泊まりが可能な休憩・簡易宿泊施設「上槇へんろ道場」として、利用に供している。
3. 上記を含めた地域活性化マスタープランの策定(独自資金:助成対象外)
上槇PJに協力的だった地区役員の一部が途中から態度を急変し、非協力的となった。
地区南部で進行している風力発電工事で、愛南町との境界である小岩道(峠H588m)の遍路道が遮断され、一方的に迂回路が設置されて、黙過すれば固定化される危険が大きい。非協力的な地区役員は風力発電事業に直接の利害関係を有し、地元意思の統一のため、自治会集会の開催を申し入れても、実現の見込みが立たない状況になっている。
 上槇地区の将来について協議できる環境になく、マスタープランの策定は頓挫をきたした。
【成果と課題】
1.成果
途絶していた遍路道の復元整備(迂回路問題は残る。)及び空き家を活用した休憩・簡易宿泊施設の整備のハード面については、所期の目的は達成できた。取組に当たって、多くの地区住民から、理解、協力を得られたことは、残された課題解決のために大きな力である。
2.課題
 (1)ソフト面について、上槇地区の存続のために必要な活性化総合計画策定は結果的に手付かずに終わった。事前の地区情勢の分析等に不充分な点があったと言わざるを得ない。課題が明らかになった以上、打開策を見つけていく責務を感じている。
 (2)ハード面についても、小岩道の迂回路問題や、遍路道及びへんろ道場の持続的維持管理態勢の確立について、引き続き対応策を考える責務を感じている。                               以上

プロジェクト情報

Project

プログラム名(Program)
2013 国内助成 「一般枠」 活動助成     
助成番号(Grant Number)
D13-L-0058
題目(Project Title)
宿毛街道中道上槇プロジェクト ―四国へんろ道に臨する山間集落の存続をかけて



代表者名(Representative)
小山田憲正  
代表者所属(Organization)
「四国へんろ道文化」世界遺産化の会
助成金額(Grant Amount)
3,800,000
リンク(Link)
活動地域(Area)