助成対象詳細
Details
企画書・概要
Abstract of Project Proposal
特に、①仮設住宅から復興公営住宅への移行期の支援のあり方、②復興公営住宅での新たなコミュニティづくりの方法、③社協と他の支援者の連携及び役割分担について具体的に学び、参考にしたい。
実施報告書・概要
Summary of Final Report
1.背景と問題意識
仙台市若林区社会福祉協議会では東日本大震災発生後の平成24年1月より、当時区内で復興活動に携わっていたプレハブ仮設住宅自治会、被災者自主グループ、被災町内会、ボランティア、NPO、行政、地域団体、中間支援組織、企業等が一堂に会し、情報交換・課題共有の場とすることを目的とした「若林区復興の輪ミーティング」を定期的に開催している。毎回約20団体が参加し、出入りが自由な「場」となっており、その時々のタイムリー なテーマを設定し、情報交換や課題共有を図ってきた。
当初はプレハブ仮設住宅入居者や借上げ民間賃貸住宅入居者に対する支援に関するテーマが多かったが、次第に「自立のための支援」や「仮設住宅から復興公営住宅への移行期の支援」「復興公営住宅での見守り体制づくり」などのテーマへ移行してきている。
仙台市では平成26年度から復興公営住宅への本格的な入居が始まり、仮設住宅から終の棲家へと生活再建がスタートした。しかし、それは再び新たな環境に馴染まなければならず、コミュニティも新たに築かなくてはならないという困難に直面する。特に高齢者や障がい者など支援が必要な方や生活課題を抱えた方は、地域からの孤立が懸念される。
そこで、阪神淡路大震災から20年を迎えた神戸市においては、様々な対策が取られてきたものと思われるが、神戸市がたどってきた復興の歩みを学び、仮設住宅から復興公営住宅への移行期における取り組みや、復興公営住宅での自治会づくりやそれを支援した関係機関の活動についての取り組み、併せて復興公営住宅の訪問学習を実施し、今後の若林区における復興支援活動に役立てるため「若林区復興の輪ミーティング」参加団体より参加者を募り訪問学習を実施した。
2.訪問学習の実施概要
【1日目】
(1)日時:平成26年6月26日(木)
(2)内容
A. 講話「阪神淡路大震災以降の神戸市の高齢者見守り活動について」
講師 神戸市保健福祉局 厚生福祉部介護保険課 在宅支援係長 奥谷由貴子氏
B. 講話「神戸市社会福祉協議会における震災復興、高齢者見守り活動の取り組み」
C. 講話 社会福祉法人神戸市社会福祉協議会 福祉部 地域福祉課長 森貞拓郎氏
(3)気づき
復興公営住宅の高齢化率が30%となり、孤独死や閉じこもりの社会問題が発生。
高齢者の見守り活動として、見守り推進員の配置や高齢者の自立支援拠点づくり等の様々な施策についての話しを伺った。また、社協の取り組みとして、復興公営住宅への支援として、地域各団体による地域ふれあいネット連絡会を結成し、見守り活動や日常生活支援活動等について話し合う場とした取り組みやコミュニティサポートグループ育成事業として、地域のサポートグループを支援する等の取り組みについて学んだ。
【2日目午前】
(1)日時:平成26年6月27日(金) 午前
(2)内容
A.HAT神戸灘の浜訪問、現地視察、講話 神戸市まちづくり研究所 事務局長 野崎隆一氏
B.なぎさふれあいまちづくり協議会の皆さんと情報交換
(3)気づき
復興公営住宅への支援として、ウェルカムイベントの開催や相談コーナーの設置、便利マップの作成等の取り組みを社協、自治会、NPOが協力して行った事例を学んだ。
小学校区毎にふれあいまちづくり協議会を設置し、ふれあい喫茶や交流会事業等 開催。また、入居者の皆さんと情報交換をして、入居当時の様子や現在の課題(住民の高齢化、UR住宅の家賃の問題等)について話しを伺うことができた。
【2日目午後】
(1)日時:平成26年6月27日(金) 午後
(2)内容
A.講話「被災者復興支援会議について」 講師 一般財団法人 淡路島くにうみ協会 小畠寛氏
B.講話「生活再建県民ネットについて」 講師 兵庫県立大学政策科学研究所 客員研究員 田代洋久氏
(3)気づき
被災者と行政の中間に立つ第3者機関として被災者復興支援会議を設置。県に事務局を置き、有識者がメンバーとして加わり、提言の施策に取り組んだ。それにより被災者生活実態を把握し、要望を聴取。また、行政施策も把握し、様々な支援策を早期に制度化する取り組みについて学んだ。
復興支援を行政や被災者自身に委ねるのではなく、広く県民による復興運動とするために生活復興県民ネットを設立。県民、各団体、ボランティアグループ、企業、自治会組織等が参加し、開かれた組織として先駆的な事業を展開し、被災者の生活再建を支援する連携事例を学んだ。
【3日目】
(1)日時:平成26年6月28日(土)
(2)内容
A.兵庫県こころのケアセンター見学
B.阪神淡路大震災記念 人と防災未来センター見学
(3)気づき
災害や事故等におけるPTSD・トラウマが与える影響やその対応策について研究し、相談診療と機関、人材育成を行っている。また、地域支援活動として支援チームを派遣している。
阪神淡路大震災の経験と教訓を知り、防災・減災社会の実現のため必要な知識を学んだ。また、人と防災未来センターではボランティアが配置されており、自らの震災体験を語る語り部から当時の様子を伺うことができた。
3.関係機関への情報発信
今後の復興支援活動に役立てるよう、訪問学習後の8月29日開催の第21回「若林区復興の輪ミーティング」において報告会を開催し、学んだ知識や情報をミーティングに参加している団体と情報共有し、学習結果を還元した。
また、平成27年3月17日開催の第23回「若林区復興の輪ミーティング」では、区内2カ所の復興公営住 宅に新たに設立した町内会長等を招き、現在必要な支援や課題について報告をしてもらい、支援団体との情報交換と交流を実施した。
さらに報告書を作成し、若林区復興の輪ミーティング参加団体や関係機関各所へ配布し、今後の若林区における復興支援を行う上でのヒントや参考に役立てた。
今後も、復興公営住宅建設地域における支援等、社協と復興の輪ミーティング参加団体あるいは、支援団体同士が連携及び役割分担しながら、見守り体制づくりやサロン活動事業等のコミュニティ支援事業の推進を図る。
(了)