助成対象詳細
Details
企画書・概要
Abstract of Project Proposal
実施報告書・概要
Summary of Final Report
1.復興まちづくりの課題と問題意識
本訪問学習ではコミュニティビジネス(以下、CB)が復興及び、その後の地域開発に非常に重要な役割を果たすという仮説のもと、その仮説の検証を念頭にヒアリングを行った。内陸部である登米市では沿岸部から避難•移住してきた住民も多く、端的に言えば町内会の形が大きく変わろうとしている。また、これと平行して人口減少と高齢化によって住民生活のあり方にも変化を求められている現状あがる。特に、介護や託児、就労などの私的領域の課題がウェイトを占めており、単に震災以前の状態に戻すのではなく、向こう10年で起こりえる「まちの変化」を見据えた学習を心がけた。
2.訪問学習(神戸)の実施概要
本訪問学習では、神戸におけるCBを通じた被災者の自立とコミュニティ創造の事例を2回に分けて視察した。1回目は、阪神淡路大震災からの復興過程におけるCBの形成過程と現在でも継続されている持続性の要因をヒアリングした。2回目は1回目の復興におけるCBの役割の中で、特に女性の働く場づくりを推進している団体へヒアリングを行った。
(1)1回目:平成26年7月24~26日
参加人数:10名
訪問先:神戸まちづくり研究所、ユイマール神戸、東灘地域助け合いネットワーク
(2)2回目:平成26年11月27~29日
参加人数:7名
訪問先:コミュニティサポートセンター(CS神戸)、神戸の男女共同参画センター・イーブン、株式会社フェリシモ
3.今後の復興まちづくりに対する応用
本事業で得た成果は、CBは復興だけでなく復興過程後のまち作りの基礎をつくることに有益な仕組みであることが解った点である。復興は単なる1フェーズにすぎず、むしろこのフェーズで地域課題に取り組むためのCB構造を構築し、キーパーソンを育成する事が出来るか、これが復興後のまち作りの強度に大きく影響する。特に、地域に関係するNPOや企業が女性の活躍の場創出支援を行う事は地域開発や地域課題の解決において非常に重要である。なぜなら、CBが対象としている地域課題は家庭の領域に直結する場合が多く、家庭の事情を把握している女性がCBを通じて地域との接点を持つことが地域課題の正確な把握と解決につながると考えられるためである。
近年、労働人口減少という社会的な課題の煽りを受け、女性の社会進出が叫ばれているが、純粋な経済活動における社会進出ではなく、SBやCBといった領域で女性の活躍こそ社会全体の活力を生む。この様な国を挙げての女性の社会進出が推進される中、より多くの「進出先」を創出し、社会との接点の持ち方にバリエーションを与えることがまち作りの要である。
(了)