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助成対象詳細

Details

2013 国内助成 東日本大震災特定課題     

次なる世代が目指すべき釜石の未来像を、過疎の被災経験地に学ぶ

企画書・概要

Abstract of Project Proposal

当団体は東日本大震災の発生から1年後の5月に結成し、地元で事業を展開する若手メンバーを中心に構成され、当事者意識を強く持ちつつ業種や世代を超えて真の復興を目指す「次の釜石」づくりを目的として活動している。釜石の現状は、仮設住宅からの住み替えが進み、徐々にまちづくりのフォーカスも賑わいづくり等の、より具体的な検討にシフトしている。しかし、若者の意見が市施策に反映されているとは言い難く、特に当団体のメンバーが参加する各種委員会においては、ハード偏重のまちづくりの方向性は変わらず、代替案としてソフト事業の提案を試みるものの、主張の根拠が抽象的となり代替策を具体的に示すことが出来ないのが現状である。
 本事業を通して先進事例を具体的に学ぶことにより、各種委員会の議論に反映させることで、まちづくりの議論の進捗に弾みがつくことが期待される。また、視察に同行出来なかった会員や市民に対しても報告会を通じて問題意識を共有し、連携が生まれる様な土壌を整備するなど、多様な業種に属する当団体の会員が具体的に行動を起こすことで、強い発信力や効果を持ちつつ未来へ責任を持ったまちづくりに繋げることが出来る。

実施報告書・概要

Summary of Final Report

1.復興まちづくりの現状と課題と問題意識

(1)【現状】

現在、釜石市では仮設住宅から復興住宅などへの住み替えが進み、住む場所の提供という当面の課題についての山場を超えようとしている。これを受けてまちづくりのフォーカスも町の賑わいなど産業や生活文化面の再構築に移り、商業・観光・その他公共施設の議論も概念的なものからより具体的な検討にシフトしている。メンバーの各人は上記に記載している市施策に反映される各種委員会等参加しているが、ハード偏重のまちづくりに危機感を持ちはじめている。建物の配置、入居するテナント、デザインなどは検討しても、いかに賑わいを取り戻し、持続的な事業を展開するかなど、ソフト面での検討が弱いと感じている。


(2)【課題】

ハード偏重であるという主張の根拠が概念的で抽象的である上、代替策としてのソフト事業の中身を具体的に示すことができない。具体的には魚河岸にぎわいゾーン及びメモリアルパーク整備検討委員会で検討している施設整備事業においての具体的な手法や、復興支援員制度の地域支援事業を通じて、地域の若者を地域に留め、また新たな若者を受け入れる流れを作る方法など、具体的な事例を知るとともに、視察先でも同様の課題に直面したときにどのような対策をしてきたのか、を知る必要がある。


2.訪問学習の実施概要


(1)【奥尻】

行程:平成26年6月21〜23日

<1日目>

奥尻津波館➝時空翔➝青苗市街地(防災対策施設等)➝松江地区(防潮堤)➝うにまる公園➝地元担い手との懇親会

<2日目>

なべつる岩➝奥尻市街地(役場、病院)➝稲穂地区(盛土)➝稲穂ふれあいセンター➝奥尻ワイナリー➝津波最高到達地点➝青苗地区(高台移転集落)

<3日目>

特別養護老人ホームおくしり荘➝社会福祉センター


(2)【中越】

行程:平成26年11月22〜24日

<1日目>

きおくみらい(中駅防災安全機構・復興デザインセンターの取組)➝わかとち未来会議(古民家民宿などのコミュニティビジネス事例)➝懇親会

<2日目>

NPO法人暮らしサポート越後川口(交流拠点施設の運営)➝山古志ごっつぉ多菜田(農家レストラン)➝山古志地域(被災現場・交流施設の運営)

<3日目>

小国支所内サテライト(復興支援員の活動現場)➝桐沢集落(農業の6次化等)


3.今後の復興まちづくりに対する応用


平成26年9月26日(金)@青葉ビル(34名参加)、平成27年1月23日(金)@カリタス釜石ベース(41名参加)において、報告会を開催した。テーマ別(農村集落の持続、コミュニティビジネス、交流の在り方、外部人材の活用)の観点から、それぞれ奥尻と中越の実例から釜石に活かすヒントについて参加者と情報共有を行った。


今後は、訪問学習の結果をNEXT KAMAISHIメンバーが参加する各種委員会や協議会の議論に反映していく。具体的には、魚河岸ゾーンにぎわい検討委員、交流センター準備委員会、釜石市震災メモリアルパーク整備検討委員会、鵜住居地区スポーツ施設整備検討委員会では、中越で実践された具体的な施策に基づくアイデアを反映していくような働きかけを行う。


(了)

プロジェクト情報

Project

プログラム名(Program)
2013 国内助成 東日本大震災特定課題     
助成番号(Grant Number)
D13-E-0027
題目(Project Title)
次なる世代が目指すべき釜石の未来像を、過疎の被災経験地に学ぶ
代表者名(Representative)
青木健一  
代表者所属(Organization)
NEXT KAMAISHI
助成金額(Grant Amount)
1,500,000
リンク(Link)
活動地域(Area)