助成対象詳細
Details
企画書・概要
Abstract of Project Proposal
仮設住宅の完成から時間が経過するとともに、発生する問題も多種に及んできていると感じている。
今回の訪問学習では、阪神淡路大震災の際に長期間仮設住宅に住んだ方や復興公営住宅(以下、復興住宅)に転居した方が、時間の経過によりどのような問題を抱えたかを学ぶ。そして、支援者がどのように問題解決に取り組んでいったのか、実際に住民支援に関わった現地の方々から学ぶ。さらに、今後の釜石市で想定される問題点を彼らと共有し、近い未来の釜石で起きる問題を予測する。私達自身が危機感を持ち、支援の在り方を考え、協議し、実践するための方策を学ぶ場とする。
なお、仮設住宅の見守りに従事する当法人の職員だけではなく、釜石市担当者(仮設住宅運営センター、地域づくり推進課)もメンバーに加えている。住民のために官と民が同じ方向を向きながら、共通した復興への歩み、今後の住民支援の在り方を考え、実践するための企画である。
実施報告書・概要
Summary of Final Report
ア.復興まちづくりと課題と問題意識
震災を巡り、津波被害の有無、仮設住宅への入居未入居、目処が立たない人、それぞれ状況による温度差が復興まちづくりの阻害要因となっている。現在当法人の「釜石市仮設住宅団地支援連絡員配置事業」では、仮設住宅を対象に巡回・見守り業務を行っており、復興公営住宅に転居する方も増える中で以下の課題に重点を置き訪問学習に望んだ。
課題1:仮設住宅に残る住民の不安
課題2:仮設住宅を出る住民の孤立
課題3:地域住民の孤立と地域見守りネットワーク
イ.訪問学習の実施概要
A)ダイバーシティー研究所の田村太郎氏を講師に迎え、当事業スタッフ、釜石市担当者、釜石市社協担当者を対象に事前学習会を行った。神戸の失敗を繰り返さないという視点から考える支援活動のポイントや訪問学習時のポイントを共有し、今後釜石市で起こりうる問題について学んだ。
《神戸訪問の学習ポイント》
1.長期間に及ぶ仮設団地での生活で発生した時間経過による問題点
2.仮設団地から公営住宅に移転する際に起きた多種の問題点
3.公営住宅に入居後に発生した問題点
4.仮設団地の集約に伴い発生した問題点
5.地域による見守りの事例
B)訪問学習では釜石市役所職員を含む計10名が神戸に伺い、支援の在り方を考え協議し、実践するための方策を学んだ。特に重要と捉えたポイントは以下の通りである。
【フェーズに沿った支援】
◆自らの活動が住民ニーズに沿った活動であるか
◆自立の妨げになってはいないか
◆その時期に合わせたニーズを確認し、解決策の提示が重要である
【支援者の横の繋がり】
◆仮設住宅の集約や復興住宅への転居等で積み上げられた情報共有の必要性
【コミュニティの再構築】
◆集約や転居による自治会組織の再活性化や新たな地域での自治組織形成の必要性
上記の教訓を周囲と共有するために2月16日、報告会を開催。
ウ.今後の復興まちづくりに対する応用
震災から4年が経過した現在、仮設住宅や復興住宅での新たなコミュニティ構築は重要課題であり、当法人の仮設住宅支援連絡員事業の役割は大きい。神戸での事例を基に巡回見守りや関係機関・団体との連携、コミュニティ(自治会)への係りについて行政・住民・NPOで取り組んで行きたい。
《神戸事例》
A)仮設住宅の見守り
1.健康面や精神面に課題を持つ方への対応とその内容を記録に残す
関係機関・団体との連携
2.地域住民、企業、社協、行政が互いに現状課題を共有し、解決に結びつけるための場が20年経つ現在も運営維持されている
B)コミュニティ(自治会)へのかかわり
◆神戸では災害復興住宅に転居が進んだ際に自治会の役員の高齢化や転居による人材不足で担い手が無くなり、20年経った今、大きな問題になっている。
◆転居先の周辺や新たな隣人の情報が少なかったことから、不安を覚える人が多かった。
また、この事業を通して気づいた事や学んだ事を事業に活かすべく、3月30日、釜石市へ来年度の仮設連絡員事業について事業改善を提出した。
(了)
広報誌 JOINT
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